朝が来ました。
まだ頭はぼーっとしています。看護師さんが、テレビ台の引き出しにある金庫の鍵を持って来てくれました。そこに手術前、お財布やスマホ等、貴重品をしまったのです。
「スマホ出しましょうか?」と仰ってくださったのですが、出して貰ったところでとても、いじる気になれません。なので、
「いいです。」と言って鍵だけ、受け取りました。
そんな午前中。さらに看護師さんが仰います。
「歩いてみましょうか~」
手術翌日から歩くことは入院計画表を見て知っていましたが、にしても早い。
「まず、お手洗いまで行ってみましょう」
「はい」
お手洗いは4人部屋を出た廊下にあります。
ゆっくりベッドから立ち上がり点滴コロリンを左手に持って1歩踏み出してみます。
右手はベッドの柵を掴みながらどうにか3歩、歩きました。
が、もうね、ふらっふらです。
「うーん、お手洗いまで行けたらおしっこの管を抜いて、後は自力で行かなくてはならないんだけど、、、無理ですね!」様子を見守っていた看護師さんに言われ
「無理、です」と答えるわたくし。お手洗いまで多分、10数歩だったと思います。
遠い・・・
そして再びベッドに身体を預けます。リクライニングで長座姿勢をとります。お腹と腰が、耐えられない!て程ではありませんが痛い。
そこへ主治医のTナカ先生が元気に登場。
「上原さん、大変でした!」
そして手術の様子を話してくださいました。
筋腫と内臓の癒着が激しく、当初予定していた3時間を経過しても完了できなくて急遽、Tナカ先生もオペに入ってくださったそうです。
(主治医が執刀医でなくなったお話 こちら※別ウインドが開きます)
「いやぁ上原さん、よく頑張りました!」
「ありがとうございます」と答えたもののわたくしは寝てただけ。
「じゃ、沢山歩いてくださいね!」と仰るTナカ先生に、無言で頷くわたくしでしたが心の中では颯爽と去った先生の残像に、無理だすー、と呟いていました。
その後、お昼ご飯が出ました。入院した日から初めてのご飯です。そういえば手術当日の朝、手術室まで歩いたとき、前日からの絶食で空腹のあまりちょっとふわふわしていました。
わたくしファスティングを数回経験しているのですがそのときはそんな感覚はなく。あの、酵素ジュースてのはパワーあるのだなぁなんて思ったものです。それからまた1日以上経っているのだからもっと、お腹が減っているはずなのですがあんまり空腹は感じません。
でも、食べなきゃ元気になれないし、と箸を付けます。メニューは、お粥・にゅうめん・豆腐の野菜あんかけ・きゅうりの酢の物。結構、ある。お粥だけだと思っていたのでビビる。結果、お粥とにゅうめんはなんとか完食。お豆腐と酢の物はほとんど食べられませんでした。普段わたくしは、ご飯粒よりおかず派なのですが、炭水化物を食したほうがエネルギーになる気がして。
不思議だったのは、わたくし酢が苦手にもかかわらず酢の物が美味しく感じられたこと。
残念だったのは、わたくしお麩が好きなのですがにゅうめんに入っていたお花柄のお麩が不味かったこと。
食事が終わると
「ではまた、歩いてみましょうかー」と、看護師さん登場。まずはベッド横に立ってみます。
おや?
そこから1歩踏み出します。
おお?!
更に数歩。
「歩けます」
午前中とは見違えるように歩けます。点滴コロリンと共に。
もちろん、めっちゃゆっくり。お腹を伸ばすと痛いので前屈みではありますがそれでもお手洗いまで歩ける。びっくり。ご飯のお陰でしょうか?
ということで、オシッコの管を抜いて貰います。抜くとき気持ち悪いというのを事前に、お友達から聞いていて、看護師さんもそう仰います。
「息をふーーーって吐いてくださいね。抜きますよー?はい、ふーーーっ」
「ふーーーっ」
おおぅ
おおぅ、とは思ったものの事前情報のお陰でわたくしの、旺盛な想像力がもっと激しく気色悪いのを想像していたのでまぁ、大丈夫でした。
「管を入れるときのほうが、もっと気持ち悪かったんじゃないですか?」と看護師さんに聞かれたのですが、そのときはもう落ちていたので無感覚。
晴れて歩けるようになったので、歯を磨き洗顔しスッキリしたのでありました。
それから、金庫の鍵を開けてスマホを取り出しチェックしてみたら家族から、大量のメールが。病院からは手術終了後に電話が行っているのですが、そりゃ本人から連絡ないと心配ですよね。悪い悪い、と返信しました。
そうそう、夜ご飯にはカレイの塩焼きなんか出てきちゃって。塩気が最高に、美味しかったよ。