手術当日は、朝に苦行がまず、ありました

退院後はほぼ毎朝⁡1時間程お散歩しています⁡。『コバッグ』に⁡水筒・スマホ・ウェットティッシュを入れて⁡。 お散歩途中に会える地域猫のブルーベルベットちゃん(勝手に命名)がいるので⁡、続けられています⁡。 ⁡[手術当日]⁡
 わたくしいつも眠りは深いのですが知らず知らず緊張しているのか⁡何度か夜、目覚めました⁡。目覚めたとて、すぐにまた眠れる位の小さな高ぶり⁡。

⁡  手術は9時からなので8時15分だったか20分だったか忘れましたがとにかく⁡8時台から、麻酔などの処置が始まります⁡。その前に⁡排便を済ませておかねばなりません⁡。入院前夜と初日は寝る前に、処方された⁡下剤を飲みます⁡。しかし、手術の朝に排便がありませんでした⁡。ない場合は浣腸です⁡。
⁡ 浣腸かぁ…⁡
わたくしの、うっすい記憶では小学生のとき1度して以来の浣腸⁡です。ま、久々の体験もいっか!⁡と思っていたのですが甘かった⁡。

⁡  看護師さんが浣腸をしてくれて⁡
「お薬だけ出ちゃうから、10分は我慢してくださいね」と笑顔で言われたのですがもう、された直後から便意との戦いが始まります。使い古された言葉ではありますが、絶対に負けられない試合がそこにはありました。
⁡3歩ずつ左右に歩きながら何とか⁡、気を逸らせようとするものの⁡
耐え難い時間⁡
過ぎない時間⁡
スマホのタイマーが2分を切ったとき”もう、無理”と早足で、しかも動きを抑えまくってトイレに⁡。多分、動く歩道のパントマイムみたいだったと思います。
スーーーッ

⁡  そうして無事、排便を終え暫くしたら⁡、看護師さんがお迎えに来てくださいました⁡。2人並んで手術室まで歩きます⁡。
「お部屋に入ったら、何の手術をするのか聞かれます。そしたら子宮摘出です、と答えてくださいね。」と言われました。前日に渡された用紙に書いてあった手術の正式名称『腹式単純子宮全摘術+両側卵管卵巣切除』。間にプラスまである、長ったらしいのが名前を言ってくださいと、言われなくて良かった。無理ですと、手術を諦めるところでした。

 手術室はアリの巣のように1つの入り口の中に沢山お部屋があるようなしつらえです。その、大元の入り口のところで小学生2年生くらいの男児がお母さんの足に抱きついて立っていました。周りに立ちただじっと、見守る看護師さんとお医者さん。
「男の子が、 泣いてる。」思わず声に出てしまいました。隣を歩く看護師さんが、何とも言いようのない相槌を打ちます。
「おばちゃんも、これから手術なの。一緒に行こ?」と、声をかけたくなるのを抑えます。見知らぬおばちゃんにいきなり声かけられたら、余計怖いわ。しかしその心の声が聞こえたかのように、我々に続いて男児は手術の巣の中へ入ってきました。男児の執刀医がニコニコと、彼を迎えます。さらにその奥に、わたくしの部屋がありました。

 まずは脊椎に麻酔をするそうです。
7年前も全身麻酔をしたけれどそのときは、脊椎麻酔はしなかったはず。なんならこの麻酔が手術そのものより怖かったわたくし。だって、超痛そうじゃん。
 ベッドに横になり、左側を下にして丸まるように指示を受けます。そうすると浮き出る背骨のとこに、なんかする、みたい。しかしわたくし、肩甲骨や背骨が見事に埋まっているのですよ。麻酔の先生が、
「もっと丸くなれますかー?」と仰るので限界まで丸くなります。そして、なんか、入って、来る、背中に。痛くはないのだけれど、どんどん管を挿入しているのか、圧迫される感じが気持ち悪い。
「う〜」と、わたくし。
「痛い?」わたくしの丸まりをホールドしている看護師さんが心配して聞いてくれます。
「痛くはないけれど、圧迫。」などと言っているうちに終わったようで再び、天井を見て寝転びます。
 そこへ、わたくしに向かって何か言いながら視界に入ってきたヒトが。どうやら、執刀医です。そう、昨日突如、主治医Tナカ先生から、執刀チェンジを告げられたTコロ先生のようです。昨日、多分1分程しかお顔見ていないから(なのに、股の奥を見られた。1分以上。そして今日、腹の中を見られる。)覚えていないけれど、きっとそう。
「よろしくお願いします。」とか言い、あと何かしたというかされたと思うのだけれど、もうここから覚えていません。7年前は腕に麻酔の針を刺して、
「声に出して数を数えてくださーい。」と言われて数えたと、記憶しているのだけれど今回は、少なくとも数は数えませんでした。

 そして、起こされる。
「上原さーん、終わりましたよー。」その瞬間、脳内に流れる
♪にゃー にゃららら〜ん
という音楽。きっかり前奏からの、ザ・リーサルウエポンズの『シューティングスターレディオ』 feat.宇多丸、スーパー・ササダンゴ・マシン
「ありがとうございます」と言いながら、お、ノリノリだな。これは大丈夫だな、と感じました。
でまた気付くと病室に運ばれたところ。ベッドを押す看護師さんが
「あ、可愛いポーチがあるー。」と仰ったこと、覚えています。そこから看護師さんが甲斐甲斐しくお世話をしてくださります。
「大丈夫ですかー?」とか聞いてくれるのだけれど、喉の麻酔の管をとったばかりで声が出ません。痛いし。そして、歯がガチガチ、言う。寒い感覚はないのだけれど、 身体に力が入ってしまい、歯のガチガチが止まりません。出ない声でそれを、看護師さんに伝えます。
「電気毛布しますね。」と用意してくれたら、暖かくて気持ち良い。やはり寒いようでした。で、歯をガチガチ言わせていると、お口のマスク(酸素マスク?)の緑色の紐が凄い高速でピヨピヨピヨピヨと上下するのです。
(うわー、めっちゃ震えてる〜)と、冷静に観察する自分もいたり。

 前回の全身麻酔では、吐き気に襲われました。わたくし吐くのがとっても苦手。お酒を飲みすぎて気持ち悪くなったときでも、必死で吐くのを我慢します。するとね、知ってます?下から出るのですよ。しかし麻酔の吐き気は我慢できず、ちょっとだけ、前回は吐いちゃった。今回は、吐き気はほんとに軽くあっただけで、ただ、震えて眠っていました。

 ふと、何時だろう?と、持ってきた、表示の大きなデジタル時計を見ます。これは、入院前の説明で看護師さんが 「表示の大きな時計を持ってくると良いですよ。スマホの操作もできないので。」とのアドバイスに従ったのです。が、ベッド横のテレビ台に置いた時計を見やると、丁度「時」の数字の部分にベッドの柵が被さって、見えない。何時45分なんだよ〜〜〜、暗いけど〜〜〜。ちょっと頭の位置を動かせば見えるのだろうけれど、それすら億劫。

  けれど数時間おきに寝返りを打たねばならないようで朝まで、看護師さんが何度も寝返りのお手伝いをしにいらして背中にまくらを当ててくれて。血圧とか測ってくれて。頭が痛い、と出ない声で訴えたらアイスノン持って来てくれて。そうしていつしか、朝を迎えました。この日から、歩くのです。マジで?