『デザインに恋したアート アートに嫉妬したデザイン』@大阪中之島美術館 を観て来ました

デザインとアートの境目を探る展覧会。両者の違いてなんだろう?ありんこ天国は『生活するアート』と銘打っています。わたくしは美大生だった頃、ギャラリーに通うのが好きでした。卒業してからは、自らもギャラリーにて展示もしてきました。
 そんな中、ギャラリーや美術館は、まだ一般的とは言い難い場所だな、と感じるようになりました。文具屋さんに入るように、お洋服屋さんに入るように、日常としてふらりと入る場所ではありません。わたくしは、自分が作ったモノをもっと、日常で人々に見て欲しいと思いはじめました。そうして、手づくり市に出すようになり、今に至ります。

 使えるアート、共に生活するアートを作りたいという思い。あれ?それってデザイン?
アートというと、取っ付きにくいイメージがありませんか?対してデザインは生活に入り込み、もうそれとは気付きません。我々が手にし、目にする人工物全てがデザインされたモノです。恐ろしい程に誰かがデザインしたモノに囲まれて生きているのです。囲まれた中、どうにも心惹かれるデザインが存在します。それが、デザインから見たアートとの境目なのかも。境目というか、あわい。揺らぎ。そんな感じ。
 人によって境目は違います。同じ人であっても、日により年月により変わることもあるでしょう。そんな文言が、この展覧会のチラシにも書いてありました。
 水道水を輝かせてしまうグラス。目に入る度思わず気持ちを昂らせてくれるネイル。そういったモノは、デザインでありアートだと思います。

 日常に溶け込むという意味では、わたくしもデザインをしたいのかもしれません。が、引っかかりが欲しいのです。馴染み過ぎない、ちょっとした違和感と興奮。取っ付きにくいとか、小難しいと身構えさせない周辺。あら?わたくしがやりたいコトて、デザインとアートの境目なのかも。なんだか大きく打って出たな感。でもやっぱり、非現実と生活のはざまをゆらゆらしたいのだろうな。

展示を観た後のお楽しみはミュージアムグッズ。

展覧会に関係のない絵葉書3枚と、作品の展示があった猪熊弦一郎の言葉が印字された4色色鉛筆。曰く「アートはバイタミン」。猪熊さんの展示されていた作品は「ボイス」。とても大きな作品だったのですが、家に飾りたーい、と思っちゃいました。なんなら、これをプリントした壁紙を、寝室の1面に使いたい、と。これって、アートとデザインのあわい。
 購入したものを入れてくれた袋の口を閉じるのには、同時開催されていた佐伯祐三のポストマンマステが貼られていました。

 ミュージアムショップて、デザインとアートがいい具合に混ざり合っている場所だな。ありんこ天国も、ミュージアムショップに生息したいです。