ギイ・ブルダン展は、インスタで広告が流れて来てそのキービジュアルに心踊って赴くことにした展示でした。
文博の別館での展覧会といえば思い出すのはシュバンク・マイエルの展覧会 。2階まで使っていて質・量共に満足した遠い思い出。改めて調べたら2011年の展覧会ですって。ちょっと、いや、かなり吃驚です。そんな、昔だったとは。それはともかく、ギイ・ブルダンも期待を大きくして行きました。そして展示スペースに踏み出すと、まずは壁の色。山吹色、紫色、黒。タイトルの表示の仕方。かたつむりのお家のようにカーブを描く細い動線。先の見えなさがドキドキを誘います。オ、オシャレだ。キービジュアルで感じたオシャレさそのままの展示だ、と思いながら歩を進めて行きました。ら、終わった。
ん?2階もあるのかな?いや、ないな。終わりだな。
少なかった。点数が、少なかった。1200円にしては、少ない。いや、価格と点数、あるいは展示スペースの広さは比例するものではありません。が、にしても。と、思ったのは事実。とりあえず、もう一度最初から観ることにしました。写真を撮っても良かったので、一緒に行った『飛び出し鼻ぶらりん』を、展示スペースの外壁でパシャッとな。
1200円払ってすぐ、終わっちゃったよ。
という大きな感想を抱きつつも「コレが1番好き」と思った作品が3点あったのだから、良い展覧会だったのだと思います。
実はわたくし、会場に行くまでこの展覧会が、京都国際写真祭のひとつだと、知らずにいました。なので受付で、「パスポートはお持ちですか?」と聞かれて思いっきりまごまごしたのですが、祭は幾つかのの会場に分かれていて、有料のもの無料のものとがあるとのこと。親切な受付のお姉さんは、
「有料の会場をたくさん周られる場合はパスポートがお得ですが、3つ位なら、個別で買ったほうが良いです。」と、教えてくれました。広げてくれたプログラムをざっと眺めて、
「では、個別でお願いします」と宣言。このとき、気になったのは、ギイ・ブルダンの下に紹介されていたマイムーナ・ゲレージ。ちなみに800円。そして、パスポートは5000円。お姉さん、ありがとう。
ギイ・ブルダンの後、予定より大分早く観終わったおかげで時間がまだまだありました。それで映画を観たくなり丁度良い時間にやっていた映画を観ることに。なんと、『ミッドサマー』以来の、劇場で観る映画です。しかしこのお話は、またの機会に。気分が乗れば。
映画館から出てもまだ、表は明るく時間があります。なので、先ほど、プログラムを見て気になったマイムーナ・ゲレージを観に行くことにしました。初めて行く嶋臺ギャラリー。そこは町屋でした。展示室に入ると青い壁。ギイ・ブルダンも鮮やかな色の壁だったけれど、写真祭全体が、鮮やかな壁で仕上げているのかな?
ところでこの写真の青い壁の部屋にいるわたくしの、背後にある作品群に、圧倒されました。思わず「わ!」と声が出てしまうほど。しかもじっと観ていたら涙が少し、込み上げて来て。それ故、写真は撮りませんでした。勿体無くて。
色がパキッと綺麗だったせいなのか。
大きさのせいなのか。
壁と葉っぱと人間との造形の美しさなのか。
何故、声と涙が出たのか分かりません。その分からなさが心地よく感じます。でも、そうね、祈り、を感じたのかもしれません。
と、薄ぼんやり思っていたのですが。後日、マイムーナ・ゲレージのこの展示のタイトルや概要をホームページで読み、祈りを感じたような気がしたのは当然のことだったのでは、と思いました。知らなくても伝わる。わたくしは、思想や自らを深めて深めてモノを作っている訳ではありませんが、伝わっちゃうんだ、そうだよね。作ったモノ見たら、全てバレる。何を好き好んで自らバラしているのでしょうか。危険なコトを、しているわ。