映画覚書「AMERICAN ANIMALS」

 映画「AMERICAN ANIMALS」を観てきました。
シネ・リーブル梅田にて。
若気の至映画というか、おバカ男子の映画というか。

 でっかい、うっつくしーーーーいあの本に魅了される。それはとてつもなくよく分かるし、あの本を所有したいてんなら、理解しちゃう。盗人はイケナイけれど。
 過酷な人生だった芸術家に憧れ、自分にはそういうのないなぁ、と思い焦り、何かが起これば全て、変わるのではないか。でもその何かが何なのかすら、分からない。という状態も分かる。わたくしなどいまだに、そんな心持ちであるし。映画の彼らはまだ大学生で、わたくし40も半ばを過ぎてなおソレってどうよ?!と思うが、それはそれとして、置いておくとしましょうか。

 彼らはその何かを、希少本を盗んで売り飛ばして現ナマを得る、コトに見いだすのだけれど、まあ杜撰な計画に、
「え?マジ?それで行っちゃうの?ほんとに?」を連呼。心の中で。

 メイク途中は「へぇ、シワってきたやん、目元」と感心させたわりに、出来上がりはどうにも老人に見えないし。

 結局、老人やめるし。

 素顔丸出しで昼日中、盗みに入るて、どうよ。

 でも皆、7年程服役してその後の人生を歩んでいるんですよね。自暴自棄になって、荒れた人生を送っていない。映画にも出ちゃっているし。主人公のスペンサーが、鳥専門の画家になっている、というのにぐっときました。画面越し、しかも本物じゃないでしょ?の本でもあんなに魅力的なのだから、本物を見ちゃったら、その後の人生に影響を及ぼしもするでしょう。でもスペンサーは結局、ガラス越しにしか見ていないのだなぁ。そうそう、寮のスペンサーの部屋には彼の自画像があるのだけれど、巧いんだコレが。その自画像からゴッホの自画像になり、他の作品へ移り変わるのをバックに、スペンサーは自分の人生と偉大な画家たちの人生の違いに思いを馳せるのです。巧いだけでは駄目。巧くもなかったわたくしは、ほんとどうすれば?笑っちゃう。あ、置いておいた話に戻ってル感。

 あと音楽。
不安感を煽りに煽る音楽に耳を持って行かれました。映画「ボーダーライン」のテーマに通ずる不安感。アガる不安感とでも申しましょうか。

 ところで映画でもドラマでも描かれる、アメリカの男子大学新入生の儀式が、この映画でも冒頭にちょろっと出てきたけれど、本当にあんななのでしょうか?・・・いや、教えて頂かなくて結構です・・・