「アイリッシュマン」ネタバレる映画覚書

フツーのおじさんがフツーにマフィアで
 歩くついでみたく
 おじさんマフィアを殺す映画

 映画中、登場人物の名前が出るのだけれど名前と共に、殺され方が出るのよね。「台所で3発撃たれて死亡」て感じで。ほぼ全員が、数発撃たれて死にます。そして主人公フランクは、数発撃つ側です。1回使った銃はお決まりの川へ、橋の上から捨てます。自分とは利害関係のないヒトを、言われるがままに殺します。銃は使い回さないから足がつかない。殺し屋だけどゴルゴ13とは全く違います。もっとずっと、日常的。

 ラジオでライムスター宇多丸さんが、「Good Fellas」(以下G)を観てから観るように言っていたので従いました。Gでは、ちょっとしたことでキレていたジョー・ペシが、怒らず・殺さず・ただ指示を出すだけの、落ち着いたマフィアに成長していて感慨深かったです(Gではペシ、死んでます)。
 ペシからもホッファ(現実の名前と役名が入り混じる入り混じる)からも可愛がられていてもフランクはしかし、所詮マフィアになれないアイリッシュマン。駒でしかないのかなぁ。娘からも軽蔑され、でも家族を守るためにフランクはやっているつもりで。悲しい。

 もしも、もしもホッファから殺しを依頼されていたら。依頼まではされなくともペシのように殺すのを匂わされていたら、フランクはやっただろうか?・・・多分、やらんな。敵にするには大きすぎるし。ホッファさえ、諦めてくれていたら。ね、フランク。

 観終わって、いつものようにイラストを描こうとしたのだけれどなにせおじさんばっかの映画で正直描きたい要素が思い浮かびませんでした。おじさんは好きだけど、絵的に華ないし。でも、でも、でも!俳優ではなくマーティン・スコセッシの、アイリッシュマン記者会見写真を観たときそのあまりの可愛らしさに、
「んー、彼だな」と相成りました。
 前から、マーティン・スコセッシの名前を聞くと、大好きな漫画「動物のお医者さん」に出てくるスコシという名前の犬を思い出していました。単に音からの連想だったのですが、記者会見の写真はスコシの面影がチラつく感じ。はっきり覚えていませんがスコシは、ヨークシャテリアとかマルチーズとか、そんな白い子犬なのです。白髪の小さいスコセッシの子犬感ったらありません。ムツゴロウさんだったら絶対、
「よーしよしよしよし!」と言って身体中撫でくりまわすでしょう。想像では、スコセッシとムツゴロウさんは同じサイズで、白髪同士だから、子犬が2匹でじゃれあっている感じに見えるでしょうね。微笑ましい。

 そんな空想で微笑むのはヤメにして、と。

 トラック協会のトップに返り咲きたいホッファが事務所で部下達をどやしつけているとき、怒ったフランクは部屋を出て行き帰ろうとします。するとあんなに怒っていたホッファが機嫌を取りに来たり。最初は別々の部屋で、フランクはしかもソファで寝かさていたのにいつのまにか、同じ部屋のツインベッドで寝ていたり。ホッファはフランク大好きだったんだろうな。ところで、おじさんのパジャマ姿てなんか間が抜けていて可愛らしい。無防備すぎるからかしらね?お色気俳優陣は決して、パジャマ着て撮影はしないのではないでしょうか?知らんけど。
 話は戻って。
 撃たれたときでさえホッファは、フランクが撃ったとは思っていなかったのではなかろうか?そういえば、裁判所で撃たれたとき、撃たれたんだよね?ホッファ。←ココ、何言ってるの?と思われたヒトは映画観てね。ところで何となく、お気付きの方もいらっしゃるでしょうか?わたくしがホッファ・ホッファ、言ってることを。ホッファ、て言いたくなりません?全く力が入らない音ですよね、ホッファ。熱いモンをお口に入れちゃったときのような楽しげなリズム。それなのに(?)大統領の次に力を持つ男と言われていただなんて。

 あぁ、あと、レストランでペシとフランクがパンをほじくりながら食べていたのが汚くも好ましかったな。刑務所でもフランクがパンを持ち込んで2人で食べようとするのも愛らしかった。そうそう、ペシが刑務所で言っていた教会というのは何のコトなのですか?刑務所内に教会があるのかと思ったのだけれど、フランクも何のことか分かっていなかったし。何なのだろう、教会。
 この映画は、その長さも話題になっていますがわたくしは、気になりませんでした。同じく長軸のカジノも観ようと思っていますがこちらは家で。すると、アイリッシュマンより30分短いのに、途中で止めてトイレに行っちゃったりするんだよな。映画館での膀胱は、頑張るな。