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 下書きで寝かせてしまっていた記事。この後も数冊読んでいますがせっかくので、出す。

 「雪の香り/塩田武士」
 ここのところ、塩田武士。
「罪の声」が話題になって知った作家だけれど、罪の声はまだ、読んでいません。4冊目の塩田武士が「雪の香り」。この日は読書の日と定めていて、そういう日は1日中本を読んでいます。3冊ほど読むでしょうか。「雪の香り」を読み終わったとき、読書の日の時間はまだあったけれど、もう物語を入れたくない、と読書を止めました。読み終えるのが惜しくて、一文字一文字、音読するように丁寧に読む本は今まであったけれど、他の本を読むのがイヤだと思った本は初めてかもしれません。読み始めは、時間を捉えにくく入り込みにくかったのに、どんどん引き込まれて行きました。雪乃の感じに、あぁこういう女性を好きな男性ているよね〜、と横目で見たりもしましたが、恭平との掛け合いは面白いです。あと、レバニラ炒めをウスターソースで作るとそんなに不味いのか試してみたくなります。小説もドラマも、結びでがっかり、とまではいかなくても尻すぼみな印象を持ちがちなわたしですが、「雪の香り」は嬉しさにただ気持ちを漂わせていたくなりました。余韻。優しい余韻。一応、ミステリーと銘打っていますがラブストーリです。自分がこんな、あまあまなラブストーリでも「いいなぁ」と思えるのは意外でした。あと、雪の香り=ミントと柑橘が混ざった香水も、気になります。

 「チア男子/朝井リョウ」
 踊りたい。わたしも踊りたい。跳びたい。わたしも跳びたい。こういう青春スポーツものは、あまり熱を持たない人生を歩んできているわたしにはちょっと、羨ましいのです。笑って喧嘩して泣いて食べて祈って恋をして。いいよねぇぇ。しかもチア。人を応援することに点数を付ける、てのも変わった競技。チアてがっつり見たことはないけれど、華やかで笑顔で見ているとつられて、元気になれる。他のダンスとは確かにちょっと違います。アメリカ青春ドラマだと、スクールカースト上位女子生徒の部活ですが、この小説では運動苦手なおでぶちゃんもいるし、そもそも男子。
 ああ。
 思い出した。昔、バイトをしていた現場が大阪マラソンのコースに近くて、社長が、
「応援に行こう!」と言いだし沿道に行ったのです。わたしはずっと、無言で目の前を走る人達を見ていたのですが社長が、
「なんか言いぃや。」と仰いました。がんばれー、とか、と。声援を送るなんて、全く思いもよらなかったコトを提案され、ビビリました。何て叫べば良いのか分からず結局何も言わず見ていたのですが。応援、というか声援を送る、というのも1つ、自分の殻を破らなければできないコトなのですね。全然知らない人だけど一生懸命やっている人に声援を送れるヒトビトは、チアの才能があると思います。社長もチア男子。Go!Fight!Win!

 「レヴォリューションNo.3/金城一紀」
 作家仲間からオススメしてもらった本。は、No.3ではなくてNo.0、つまり「レヴォリューションNo.0」だったのだけれど、図書館の書架にあったのはNo.3だったのでまずは、こちらを読んでみました。高校生男子の物語。チア男子同様、羨ましいなぁ、と思う。バカな男子のその情熱が、羨ましい。わたしの高校生活、地味だったなぁ。

 「まどろみ消去/森博嗣」
 森博嗣は大学生の頃から好きで読んでいます。まどろみ消去はミステリー短編集。不思議でちょっとコワい。殺人なんて、ちょろっとやっちゃうモンだよね!て思いそうになり、いや、そんなことないよね!と思い直す。

 「あの女/真梨幸子」
 あの女、ですよ。タイトルが。小説家の、あの女とあの女を軸に、阿部定も絡みつつ。完全に騙されていました、わたし。植物状態になっても意識、あると思います。
 そういえば、いつぞやラジオで聴いた話。とあるラッパーが、植物状態とまではいかなかったかもしれませんがとにかく、意識がない状態で長期入院を余儀なくされたそうなのです。入院中、母親が良かれと思ってずっと、喜多郎を流していました。しかし、意識がないと診断されながらも彼自身にはずっと意識があり、その音楽止めてくれ〜!と切願していたそうな。我々が認識できる意識が戻った故、聞けたお話ですね。ラッパーの息子にはやはり、ラップをかけてあげるのが正解のような気がしますが、喜多郎を止めたいという思いで、意識が戻ったのかもしれないので、物事は分かりません。

 「マジシャン/松岡圭祐」
 言ってみりゃぁあの男、です。悪人て、いるものですね。

 ・・・実はこの本だけ全く、下書きってなかったので、印象がもう遠くになっています。遠くになっているけれど、それはわたくしの記憶というものが実になっていないからであって、この小説がつまらなかったという訳ではけっしてありません。とにかく、酷い!この男!と思ったのです。自分を信じている少女を平気で殺そうとするヤツなんて、人じゃねえ。まんまと交わされて、ざまあみろだわーい、わーい!と、思ったことを覚えています。
ミネット・ウォルターズ著/成川裕子訳 創元推理文庫
※ありんこ天国のブックレビューは基本、ネタバレです

 谷に牙と書いて、こだまと読むのですって。
 それはさておき。
 読み終わってまず思ったのは「わからん・・・」でした。ミステリーですが、解決したと言えるのかすら、わたくしにはよく分からなかったのです。
 「結局、どうなるんだアマンダは?」
 そのまま、訳者あとがきを読むと、
『アマゾンコムの読者書評欄に寄れられた感想にも、contorted’ convoluted’ confusing などの単語が数多く見られる(どれも、複雑な、入り組んだ、ややこしい、くらいの意味だと思ってください)。ー中略ー「頭が痛くなりたかったら、本書をお読みなさい」と薦める人もいるほどであるー後略ー』
とあり、「なんだー、特別わたくしの頭が悪いて訳ではないんだー」と、安心した次第です。しかし、分からなかった=つまらなかった、ではないのがこの小説の不思議なトコロ。分かりたい一心で、読み終えた直後に再び、読み直すコトにしました。数年経って読み返すコトはあっても直近で、読み返すのは初めてです。

 物語自体のややこしさはいいとして、わたくしにはカタカナの名前が覚えられない、というハンディがあります。いやあなた、日本人の名前も覚えられないではありませんか。と、突っ込まれたら確かにそうなのですが、カタカナの名前はより輪をかけて、覚えにくいのです。
 この物語には、要の失踪人/ジェームス・ストリータートとピーター・フェントンが出てきます。1読目は、
・どちらがアマンダの旦那だっけ?
・どちらが謎のホームレス/ビリー・ブレイクに似てるんだっけ?ん?どっちも??
・スパイの容疑がかけられているのはどっちで、浮気疑惑があるのはどっちだっけ?
と、とにかく2人の区別が付けられないまま、物語を読み進め、読み終えてしまったのでした。そんな中、スキンヘッド・ホームレスの少年テリーは魅力的と言ってもいいかな(かなり上から)、という存在で、謎を追う主人公ディーコンの、実力派ながらパッとしない外見といけてない性格がちょっとだけチャーミングな感じがしないでもない(かなり上から)中年記者っぷりが、わたくしを2読目に駆り立てたのだと思います。

 2読目で相関図も多分理解できたと思われます。意外なトコロ で人と人とが繋がっていたりもして、世間は狭いのです。そして多くの コトが、ただただ偶然のようにも思えます。偶然居合わせてしまった殺人現場と偶然拾った新聞記事。弁護士達は奇遇にも関係者がクライアントで。偶然の殺人と偶然に見せかけた殺人。わたくしが偶然だと思うコトをテリーは運命だと言います。偶然=運命。そして運命は2つの失踪事件をビリーを通して結び付けてしまうのです。
 最後まで正体を明かされないフェリシティ・メカトーフはジェームスの愛人なのだろう、と予測します。名前を変えた彼女はずっと、ジェームスを待っていました。そして、ジェームスを殺したアマンダは、無罪を勝ち取る予感がします。
 そう、アマンダ。
 わたくし、小説や映画では美人に肩入れしがちなのですが、このアマンダにはなぜか、のれませんでした。美人なだけでは心惹かれないモノなのですね。

 ちなみにこの著者は、ありんこ天国の本の服を選んでくださったお客さま推薦の作家です。「女流彫刻家」を筆頭に挙げられ、初期の作品を勧められました。そして初期作品であるこの本をチョイス。女流彫刻家も読んでみます。美術系の小説には、ワクワクしてしまいます。詳しくはないクセに。

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