憧れるモノのひとつ、それは美肌

 あれは去年の夏の出来事。
ドラッグストアの店内をウロっていたら、お姉さんに声を掛けられました。

「お肌の診断を受けてみませんか?」的に。
お姉さんの制服には、有名高級基礎化粧品会社の刺繍。CMで見るヤツだ。やってみたかったヤツだ。と、いうとで、まんまと診断を受けてみるコトにしました。

 お姉さんも、商品を売るために肌診断を持ちかける訳だからよもや、美しい肌の持ち主には声を掛けるまい。どんな結果が出ても亜理(あり=わたくしの本名)、泣かない。と、決心をしてカウンターに案内されます。

椅子に座ると、案内してくれたお姉さんとは違うお姉さんが商品を手にしながら尋ねます。
「こちらはご存知ですか?」わたくしは答えます。
「もちろんです。」お姉さんは尋ねます。
「どんな印象をお持ちですか?」わたくしは答えます。
「◯◯◯◯(CMをやっている美人女優)」お姉さんは微笑みます。
「こちらをお使いになれば、その女優さんになれますよ。」
「なれるか~い!」
 化粧品を使ってそのCMに出ている女優になるンなら、お姉さんも彼女になっているだろう?つこて(使って)ないんか、自社化粧品。心の中で静かに突っ込む。

 そんな、会話を交わしつつ、肌診断です。卵型の機械を指し示しお姉さん、
「コレ、されたことありますか?」わたくしは答えます。
「ないです。」お姉さんは言い放ちます。
「未来の肌まで、見えるんですよ。」わたくしは答えます。
「恐ろしいてす。」
 でも、未来より、今の肌を知るのが恐ろしいのです。恐ろしいけど、知りたいのです。そして、ほっぺに近付けられる、卵型。

結果は?!
上原亜理 45歳の肌はどう?

 キメ以外全て、年寄り。キメはある。キメだけはある。キメしかない。
右上の、・毛穴
    ・シミ
    ・くすみ というのは、診断前に申告した気になる点です。
トタールでは1歳上の46歳だけれどシミ・くすみは見事に53歳!撃沈。

 ところで席に座ってからずっと、お姉さんとお話ししつつ、隣の診断組の会話も気になって仕方ありません。かなり強烈に商品を勧めるお姉さんと、なんとか買わずにおいとましようとするお姉さんの攻防が繰り広げられています。
「今、はじめるのと1ヶ月後にはじめるのとでは結果が違うんですよ!」そんな文言を繰り返すお姉さん店員。
「でも、今すぐ買う判断はできません・・・」これまた繰り返すお客さんお姉さん。そりゃそうだ。オ安いモノではない、どうしよう。うっかり、肌診断受けちゃったけど、わたしもお隣さんのような攻撃を受けるのだろうか?不安になるわたくし。わたくしのお姉さん店員ともお話ししなくちゃならないし、お隣は気になるしで内心テンテコマイ。そしてわたくしのお姉さんとうとう、値段の話をし出しました。わたくしはおもむろに言います。

「わたし、何使っても荒れないんですけれど、何使っても良い変化を感じたこともナイんですよね。」真実である。化粧品もそうだし、例えば、
「もつ鍋食べた翌日はお肌がツヤツヤ〜」なんて経験も、ありません。普段どーり。するとお姉さんは仰います。
「そうですねぇ、こちら使って頂いてすぐ、効果が出るかもしれませんし、1年後かもしれませんし・・・」思わず、
「いーちねん!」と声にしてしまいました。声、裏返り気味に。わたくし、1本使い切る頃には変化を感じたい派です。・・・感じたコトないけど。そしてなんとお姉さん、それ以上勧めることもなく、またの機会に、と言ってパンフレットだけ渡してくださいました。お隣はまだ、絶賛お勧め中。

 買え買え攻撃に合わないでホント良かった、たまたま、わたくしのお姉さんがおっとり型だったのか、お隣お姉さんが攻撃型だったのかはいざ知れず。
 ほっとしたのですが。
 この話を働き蟻Mさんにしたところ、
「もうどうしようもない肌で早々に諦めはったんちゃう?」と。確かに。1〜2個、年齢より上だったのであれば、
「弊社の商品で生まれ変わって、カモ〜ン!」となるのが、1つを除いて軒並み実年齢以上だと、
「もう、弊社の商品では無理。変わらない肌に苛立ち、悪評をSNSに垂れ流すやもしれない。弊社のせいでは断じてないのに!」となってもおかしくない。いや、なるに違いない。そうか、そうだったのか。

 まあいい。
 できる範囲でなんかしつつ一生、この肌と生きて・く。